ニノ自分へのご褒美?彼からのプレゼント?
相葉くんの話を聞きながら
俺がいかに智しか見ていなかったか
智を通してしか潤を見ていなかったかが
わかった気がした。
俺は、智を自分の物のようにそばにおいて
俺と「話すな」とか「近づくな」って
癇癪を起こす
小さな潤を見ていたけど
相葉くんたちの見方は俺と違ったみたいだ。
小さい体で、体を震わせながら
俺を睨んでいる潤の姿が思い出された。
「……可……哀想…………かあ………」
智がされた事を聞いても
相葉くんは”可哀想”って言えるんだろうか………
『今じゃ、自分の家庭をもって
幸せに暮らしてるんだろ。
よかったよな。
普通の家が憧れだったから…………』
って、言う相葉くんに
俺は、何も言わずに
黙って写真を片付けた。
『それ、
明日、俺からおーちゃんに渡そうか?』
相葉くんが封筒を指差して言うから
咄嗟に
『え?
い、いや………いい。
俺が母さんから預かったんだから
俺から渡すよ。』
と、後ろに隠してしまった。
『ふーん。
ま、いいや。
じゃあ、俺………こっちだか
バイバイ。
また、帰ってきたら一緒に飲もうね。』
と、俺の行動に違和感を感じながら
相葉くんは手を振って帰っていった。
封筒を相葉くんに渡せなかった俺。
渡したら
智と会う口実が無くなってしまう………
咄嗟に思ってしまった。
どうしたいって言うんだろう……
智に会いたい…………
って
やっぱりもう一度会いたい。
って、思ってる俺。
結局、なんの解決もないまま別れてしまったから
この先………
また、笑って会えるように
また……………
俺には、智を抱き締める腕は無いけれど
それでも、何かの支えになりたい。
そう心に誓いながら
家路に着いた。
『ちゃんと医者に行けよな。』
と、隣で寝ているニノが言う。
俺はそれを寝たふりをしてかわした。
「……大きな病院で診てもらいなさい。」
子どものころ、恐くて恐くて仕方がなかった先生が
いつも鬼のような顔をしていた先生が
心配そうな顔をして
「遅くなる前に……」
と、言った。
俺…………
病気なの…………?
まさか…………………………
そりゃあ………
ちょっとダルかったり
目眩がしたり
それは、ただの貧血で
栄養不足だったからじゃないの?
もし、本当に大きな病気だったら…………
そう思うと体が震えた。